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日米安保条約50周年を前に

米国の金融立国における中心的存在であった投資銀行。リーマンブラザースは破綻し、ベアスターンズやメリルリンチは吸収合併され、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーは商業銀行への転換を余儀なくされました。米中経済同盟を進めてきたのも投資銀行でした。米国は一方で、日本に多くの規制の緩和や改革を要求してきました。しかし、米国は金融立国で恒久的な繁栄を維持するという戦略がダメになり、同時に夢の米中経済同盟も破綻の兆し。やはり、日米関係は重要になってきました。

米国が民主党政権なったら日本バッシングが始まると言われてきましたが、金融破綻が米国経済と米中関係に暗い影を落とし、どうやらその懸念はなくなってきたのでしょうか? オバマ米次期政権は、次の駐日大使に元国防次官補で現在ハーバード大学教授のジョセフ・ナイ氏(71)を起用する方針を固めました。政権発足前に駐日大使の人選が行われるのは異例で、オバマ政権の対日関係重視の表れと見られています。このナイ氏はクリントン政権で国防次官補をつとめ、96年の日米安保のいわゆる「再定義」を担当。ブッシュ政権が誕生する直前と今回の大統領選を前と2度にわたり、アーミテージ元国務副長官とともに対日同盟政策の包括的な戦略文書「アーミテージ・ナイ・リポート」をまとめるなど日米関係に深くかかわってきた人だそうです。

また、 国務省の東アジア・太平洋担当次官補にカート・キャンベル元国防次官補代理が、国防総省のアジア・太平洋担当次官補にウォレス(チップ)・グレッグソン退役海兵隊中将がそれぞれ起用される見通し。キャンベル氏は、ナイ氏のもとで国防次官補代理を務めた民主党きっての知日派。グレッグソン氏はキャンベル氏とともに、国防総省でアジア太平洋地域を担当し、その後、沖縄で第3海兵遠征軍の司令官や4軍調整官を歴任した人。

この布陣は、日本に圧力をかけて米国経済を助けさせようというオバマ新大統領の期待の現われでもあるわけで、「7日に実施された3年物の米国債入札では、特に海外の投資家を中心に需要が衰える兆しが見られ、米国債市場のバブルが崩壊しかねないとの懸念が高まった。実際に米国債市場が崩壊すれば、世界経済に深刻な影響をもたらす恐れもある。」とニューヨーク・ロイター(7日)が伝えています。しかし、ドイツやイギリスも大量の国債発行が行なわれていますが、ドイツでは三分の一が売れ残ってしまい、イギリスも大量の国債発行が控えています。こういう状況下で、大量に発行される米国債を買うのは誰でしょう? 米政府は金融システムや自動車業界の救済に必要な資金を調達するため、今年は2兆ドルも国債を発行するらしい。イギリスは、ドイツを追い抜いて先進国一の借金王になると言われていていますね。非常事態になれば円建てで米国債が発行されるようになるのか。円建てで米国債が発行されれば円売りドル買いが発生し、日本にとっても円高対策になりますが・・・。

オバマ外交、日米深化 外交・安保顧問が共同論文
asahi.com 2008年6月28日

米大統領選で民主党の候補者指名を確実にしたオバマ上院議員の外交・安保顧問、リチャード・ダンズィグ元海軍長官とジョセフ・ナイ・ハーバード大教授が連名で、オバマ氏の日米関係に関する考えをまとめた論文「オバマ氏と日米関係」を朝日新聞に寄稿した。全文の日本語訳は次の通り。
     ◇  
各種世論調査によると、諸外国から見た米国の魅力は(ブッシュ政権下の)過去8年を通じて衰えた。バラク・オバマ上院議員を大統領に選ぶ以外に我々のイメージを再生する手だてはない。我々が彼に対する支持を決めるに当たり、アジアや日本への姿勢は重要な判断材料だった。このほかにも、ある人物が良い米国大統領になるかどうかを評価する要素は数多くあるものの、過去60年にわたって発展してきた日米関係を理解し、肯定的に見る人でなければ、支持することは考えられない。

 昨年11月、福田首相の訪米の際にオバマ氏が指摘した通り、共通の価値観や利益に基づく日米同盟は死活的に重要だ。アジア太平洋地域での米国外交の礎石であり続ける。2010年は日米安保条約の調印から50周年を迎え、第2次大戦後の国際関係で最大の成功の一例を際だたせることになる。今こそ二国間の協力、協調の伝統に新たなエネルギーや独創力を吹き込む時だ。

  日米両国は過去10年以上にわたり、軍事同盟関係をアジアなどでの安全保障面での変化に対応するよう変革させてきた。「周辺事態」の際の役割や任務を示した日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を見直し、危機管理や軍事作戦の統合を進めてきた。両国は持続的な安保協力関係を築くため努力を続ける。

 しかし、両国の協力関係はこれまでもそうであったように、今後も単なる二国間の安保協定を超えるものでなければならない。オバマ氏は両国の協力関係をより深化、広範化させる構想を持っている。イラク政策の誤りや対テロ戦の失敗で、米国の影響力やイメージに傷がついたことは懸念材料だ。そのダメージと戦略面での漂流は、アジア太平洋にも波及した。

 双方の強みを合わせて、ともに協力しあうことで、日本と米国はさまざまな課題を解決する新たなリーダーシップを作り上げることができる。それはエネルギー効率を高めることから、環境の保護、世界の最貧国の経済開発、さらには東アジア地域の平和と安全の強化にまで及ぶものだ。

 今や日本は、外交・政治両面で極めて重要な役割を担っている。6者協議では、北朝鮮に対して核兵器計画の完全でかつ透明性をもった放棄と、核不拡散条約や国際原子力機関(IAEA)の監視下への復帰を求める努力を支えてきた。拉致問題の解決を迫り、より大きな地域の平和をめざす枠組みに参加するよう説得もしている。核問題解決のために6者協議を活用しようという日米双方の努力は、北朝鮮に対して、核兵器を作るに十分なプルトニウムの備蓄や核実験、ミサイル実験の再開を許すといった米政府の一貫性に欠ける政策で損なわれてきた。日米はより密接に協議し、アメとムチを正しく使い分けながら強い態度で北朝鮮と直接対話をして、6者協議が取り上げているすべての問題を解決し、(ブッシュ政権が誕生した)2001年から始まった後退が今後も続くことを食い止めなければならない。

 平和維持活動への貢献や人道危機への対応をめぐる日本の指導力は最近、中国で発揮された。四川大地震の被災地にいち早く到着したのは日本の国際緊急援助隊だった。04年12月のインド洋津波でも同様の貴重な支援を行い、その後、地域警報システムの導入にも力を貸した。

 新聞各紙が気候変動の危険性を連日報じるなか、環境問題で重要な指導的役割を果たすことも日本の新たな地球規模の役割だ。京都議定書は気候変動対策の歴史的第一歩だったが道はまだ遠い。国際社会はエネルギー効率や新エネルギー技術の開発で日本から学べる。米国は日本とのエネルギー分野での関係を強化し、温室効果ガスの排出が減ったより安全な未来に向けて、ともに世界を引っ張っていくこともできる。

 アフガニスタンでの米軍の作戦行動に対する自衛隊の支援や、同国の生活基盤再建に向けた開発資金集めで示された日本の指導力に、オバマ氏は米国民とともに感謝の意を表明した。アフガンはいまだ対テロ戦の最前線であり、我々の任務はまだまだ終わっていない。日米両国が手を携え、アルカイダを駆逐するための努力を倍加させることが重要だ。  両国は協力関係を強化して、鳥インフルエンザなど感染症の爆発的流行をはじめとする国境を超えた新たな問題に対応し、急を要するアフリカへの開発援助を先導しなければならない。そうした分野での日本の指導的役割は、国際社会で果たす責任に見合った形で認知されなければならない。

 米国は、日本が堅調な経済成長を遂げることに死活的な利益を持っている。世界第2の経済大国として、日本の経済的な成功は日本国民だけでなく、米国を含む主なパートナー国の繁栄や健全な世界経済にとっても重要だ。

 近年日本は、外国からの投資に門戸をより大きく開くとともに、過剰な政府の規制を撤廃することで経済活性化に向けた重要な前進を遂げた。日米両国は経済協力関係を一層強化することによって、ともに利益を享受することができる。

 両国はいずれも、同盟関係が長年続いているからといって当然視してはならない。オバマ氏は両国がより強力で持続的な地球規模の安保関係を築くよう求めている。両国だけでなく地域や世界の各国に、過去50年と同等かさらなる利益をもたらす関係の構築に、日米両国は強い関心を持っている。アジア太平洋地域での新たな枠組みが、両国にとって重要な利益や価値観を守り、発展させていくよう緊密に協力する必要もある。オバマ氏は昨秋、アジアの国際的枠組みの構築をめぐる議論の中で、「米国は信頼度が高く、地域と地域的枠組みに関与するパートナーであるべきだ」と述べた。「地域安定のための基盤」という日米同盟の中心的な役割を減じることなく、新たな枠組みや対話をする関係を生み出すことは可能だ。それは日本の外交が示している。

 活力ある経済や強力な軍事力、さらに政治的影響力の増大で、東アジアは今、世界で最も活力ある地域となっている。大量破壊兵器の拡散防止や世界経済の強化、気候変動への取り組み、地球規模の流行病対策など、押し寄せる諸問題の解決にはアジア諸国の積極的な参加が不可欠だ。日本との密接な協力は、アジアにおける米国のすべての政策や利益のまさに出発点なのだ。
     ◇  
〈リチャード・ダンズィグ氏〉米有力シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)フェロー。98~01年にクリントン政権下で海軍長官を務めた。  〈ジョセフ・ナイ氏〉米ハーバード大特別功労教授。クリントン政権で国防次官補などを務め、95~96年の日米安保再定義を手がけた。

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