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ポーランド

戦後ドイツを代表するノーベル文学賞作家のギュンター・グラス氏(78)が
ナチス・ドイツのヒトラー親衛隊の軍事部門(バッヘンSS)に所属していたことを告白しました。
(毎日新聞 8月29日)


ナチスに最大の被害を受けた隣国ポーランドが反発していますね。
グラス氏は旧ドイツ領だったグダニスク(旧ダンチヒ)生まれ。
冷戦時代に両国関係改善を訴えたことから名誉市民号を贈られています。
なお、ノーベル基金はこの15日にギュンター・グラスからノーベル賞を剥奪しないことを声明しています。ノーベル賞が剥奪されたことは一度もないですね。

ポーランドと言えば、列強に包囲され滅亡の憂き目に遭った国、被害者の国というイメージが強い。
例えば、ロシア・オーストリア・プロイセンによるポーランド分割はあまりにも有名です。
(1810年にはポーランドの国民的作曲家レデリック・ショパンが誕生しています)。

そのポーランドが、約1600人のユダヤ人を生きたまま焼き殺したという報道にはビックリしました。
今からちょうど65年前(1941年7月10日)、ポーランド北東部の小さな町、イェドヴァブネで、ユダヤ人の大量虐殺が行われたということです。
当時は反ユダヤのドイツ占領下であり、駐留していたドイツ軍も村人の行為を見て見ぬふりをしていました。

私は以前(2002年9月)NHK特集「沈黙の村」で観ました。その少ない生き残りユダヤ人の証言をもとにNHKがその村を取材、当時を知る人々の証言を放送していました。虐殺に加わったと思われる老人の証言から、彼を含む村人により実際に虐殺が行われた感じを受けましたが、当然人道的に非難される行為のため、老人は遠回しにしか事件について語りませんでした。

一説によると、ソ連軍占領下の20ヶ月の間、ユダヤ人たちがソ連軍に協力したことに対する復讐だったとも言われます。ユダヤ人たちの行為を知れば、地元ポーランド人が腹を立てるのは当然だった、という証言もあるそうです。

ポーランド人とポーランドのユダヤ人、二つの民族は約500年の間、一緒に住んでいました。
それまでの生活など全く無関係に,隣に住んでいたポーランド人が隣に住んでいたユダヤ人を虐殺したのです。戦争とは人々の精神を狂気に駆り立てるものなのでしょうか。
上記のノーベル文学賞作家のグラス氏の小説、ナチス支配下のポーランド社会を描いた「ブリキの太鼓」を読んだことがありますが、映画にもなっていますね。


これまで、この虐殺はナチスドイツ軍によって計画され、実行されたとされてきました。
ところが2001年になって、実際に手を下したのは、ドイツ軍ではなく地元のポーランド住民だったと言う説が浮上しました。そして、調査の結果、約250体の遺体が発見され、それらは焼かれた後で銃殺されたことが判明しました。

2001年5月、ポーランドのカトリック教会がユダヤ人虐殺事件で謝罪表明 しています。
7月、ユダヤ人虐殺60周年の式典に参加したポーランドのクファシニェフスキ大統領は、新しい記念碑の前で、犠牲になったユダヤ人に謝罪しました。

ポーランド国民は9割がカトリック教徒だそうです。大戦中については年配者を中心に、
「自分たちはナチスの被害者だった」「ナチスに抵抗してユダヤ人を助けた」
との意識が強いと言われています。
ポーランド政府は今も、このユダヤ人虐殺に関しては認めてはいないのでしょうか?



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